恵みに満たされて

金沢市の教会の牧師のブログ

震災と事故から10年

今週、東日本大震災発生から10年を数えようとしています。先月の時点で死者15,899人、行方不明者2,526人という甚大な被害を受けた被災地では、土地のかさ上げや堤防建設は進んでいますが、一度分断されたコミュニティーを取り戻すことは容易なことではありません。先日の福島県沖の地震によって、当時のことが思い出された方もおられるでしょう。被災された全ての方々に主が寄り添い、生きる力と希望を与えてくださるよう、祈りを合わせます。

同時に、今週は東京電力福島第一原子力発電所事故から10年にもなります。当時、発令された「原子力緊急事態宣言」は未だに解除することができていません。汚染水は日々増え続け、海洋投棄が目論まれています。使用済み核燃料の取り出し作業は遅れ、うず高く積まれた放射能汚染土も放置されたままになっています。線量が十分に低下するまでに10万年かかるとされている「核のゴミ」は、過疎地域に押し付けられようとしています。

日本バプテスト連盟・公害問題特別委員会は、原発事故から10年を経ての声明を発表しました。その最後の告白の部分を以下に引用し、想いを合わせます。

この技術を生み出した背景には、他者をむさぼり、より強く、より多く、より豊かに、今さえ良ければそれでいいという価値観の中に浸ってきた私たち自身がある。原子力(核)の技術を手放すことを求める我々は、我々自身の価値観や、生き方をも方向転換しなければならない。我々は、神の創造し給うこの地上は、太陽・地熱・風力・水力・波力などあらゆる再生可能エネルギーに満ちあふれていることに、とりわけ福島原発事故以後、気づかされてきた。我々は一刻も早く他者を犠牲とするエネルギー政策からの転換を求める。「うめいている一つの被造世界」の中に共に生かされてある私たちは、科学技術を無批判に受け入れ、これにひれ伏してはならず、主なる神の前にあって謙虚に生きなければならない。そして今なお、強いられたヒバクによって痛み、脅かされている命と連帯してゆくことをここに表明する。

「被造物がすべて今日まで、共にうめき、共に産みの苦しみを味わっていることを、
わたしたちは知っています。」(ローマの信徒への手紙8章22節)